2017.10.11
怖いものや、残酷なものに出会ったら、「やめて〜!」と目を覆いながら指の間からチラ見したくなるのが人間のサガ。今回は、そんな好奇心を刺激する美術展をご紹介します!
こんにちは、有難屋マガジンのN川です。
突然ですが、このポストカードの絵をどう思いますか?
描かれているのは、誰もいない部屋。
暗くてわかりにくいけど、奥にドレッサーと窓が見えます。
いったいなんで、この絵のタイトルが
「切り裂きジャックの寝室」なの?
切り裂きジャック事件とは、
19世紀末のロンドンで起こった未解決連続殺人事件。
絵の作者であるウォルター・リチャード・シッカートは、
切り裂きジャックに強い興味を持ち、
事件をテーマにした絵を何枚も描きました。
しまいには、犯人が住んだと言われる部屋を借りて住むほど
のめり込んでしまったのです。
その自室を描いたのが、この絵というわけ。
現代にも、連続猟奇殺人犯の追っかけになって
死刑囚のサインを集める人がいますが、
当時からそういうことってあったんですね!
実は、絵の作者シッカートは、切り裂きジャック事件の
真犯人と疑われる人物のひとりでもあります。
もちろん真相はわかりません。
でも、もし真犯人が事件に執着し、
自らの殺人をなぞるように
事件の名を冠した絵を描いたのだとしたら…?
そんな想像をすると、だんだんこの絵が違って見えてきませんか。
10月7日から上野の森美術館ではじまった「怖い絵展」は、
そんな風に、絵の背景に隠された恐ろしい物語を
テーマにした美術展です。
ベースとなっているのは、作家でありドイツ文学者でもある
中野京子さんのベストセラー書籍『怖い絵』。
日曜日の昼前に会場に到着すると、「入場待ち時間60分」とのこと。
すごい人気!
展示をしっかり楽しみたいなら、
音声ガイド(税込550円)の利用がおすすめ。
解説の内容は、『怖い絵』著者・中野京子さんの書き下ろし!
女優の吉田羊さんの語りを耳で聴きながら
ポイントを目で追えるので、混んでいて動きが取りにくい会場でも
私は快適に絵と解説を楽しむことができました。
展示キャプションには入っていない小ネタに、
思わずニヤリとすることも!
80点にもおよぶ展示作品の中で、私が特にゾゾッとしたものをご紹介します。
逃亡中の殺人犯の自責の念を絵にした作品。
被害者の血は闇から伸びる無数の手になり、天秤は男を責める目になる。
これぞ悪夢!
この絵の場合、背景の物語がどうこう言う前に、
うごめく線が怖い!色使いも怖い!左端にいる胎児も怖い!
「怖い絵展」のメインビジュアルにも使われている作品。
縦2.5m×横3mの大作の迫力は圧倒的。
16歳の元女王が目隠しされ斬首される直前の瞬間が描かれています。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵のこの作品は、今回が日本初公開!
何を「怖い!」と思うかは人それぞれ。
この「怖い絵展」は12月17日まで公開されているので、
ぜひ、あなたの「怖い絵」を見つけにきてくださいね。
怪談やお化け屋敷の季節が終わったというのに、
美術鑑賞と恐怖体験を一度に味わえるなんて、
ああ、有難い!
(有難屋マガジン・N川)
中野京子さんの解説付きポストカード(1枚150円)などグッズも充実
【会期】2017年10月7日(土)~12月17日(日)会期中無休
【開館時間】10:00~17:00(入場は閉館の30分前まで)
【料金】当日券/一般1,600円 大学生・高校生1,200円 中学生・小学生600円
【会場】上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
HP:「怖い絵」展
ありがたや〜